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大学院授業[2015]

東京大学大学院・総合文化研究科・超域文化科学専攻
文化人類学コース 開講授業 [2015年度]


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木村秀雄 南アメリカ人類学の理論的・方法論的立場

南アメリカ人類学の事例研究(アンデス社会経済体制)
川中子義勝 J・S・バッハと教会暦

詩・物語りの思想・文化史
岩本通弥 現代民俗学入門

現代民俗学の課題と展望
福島真人 文化としてのインフラー社会を支える基盤についての科学技術人類学

モノのデザイン、社会のデザインーデザイン、設計、政策についての科学技術人類学 
箭内匡 博士論文ライティングアップ・セミナー(Sセメスター)

イメージの人類学ー原発問題の周辺でー 
渡邊日日 人類学再入門演習
  人類学と倫理学のインターフェース
津田浩司 民族論の展開
  フィールドワーク論(2)
名和克郎 文化人類学者のための言語人類学入門
比較民族誌演習II
関谷雄一 開発と文化人類学(演習) 
  文化人類学と現代アフリカ農村開発
森山工 (学内重要職務のため授業なし)
ジェフリー・バウカー (客員) Towards a new ecology of information: reflection on the social life of information in the context of science, culture and design (情報の生態学:科学、文化、デザインと情報のかかわり)

木村秀雄 [研究内容はこちら]

南アメリカ人類学の理論的・方法論的立場
1年間をかけて木村のこれまでの南アメリカ人類学研究をまとめたものを聞いていただきたいと考えている。Sタームにはその際の理論的・方法論的立場を、分節接合とコミュニティをキーワードに明らかにしたいと考える。 

南アメリカ人類学の事例研究(アンデス社会経済体制)
1年間をかけて木村のこれまでの南アメリカ人類学研究をまとめたものを聞いていただきたいと考えている。Sタームで述べた理論的・方法論的立場に基づき、事例研究として中央アンデス農村地帯の社会経済体制について具体的に論じる。 

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川中子義勝 [研究内容はこちら]

J・S・バッハと教会暦
J・S・バッハの音楽の思想的・文化史的意義を考察する。宗教形成の過程においては、神学上の教義や信仰箇条が定められる一方で、儀式や礼典が整備され、信仰の具体的形としての「敬虔」が方向付けられていく。そこでは信徒に信仰生活の節目を示す暦の役割も重要である。キリスト教会においても、早い時期に「教会暦」が定められたが、これは世俗化の時代を迎えた今もなお民衆生活の年間のリズムを規定している。J・S・バッハのカンタータは、ルター派教会の礼拝に用いられるために、教会暦に基づいて作曲されたが、その作品を紹介、テクストを解釈しつつ、暦の本質や民俗学的側面、復活節などの祭りの意義について述べていく。このような形でのキリスト教入門。

詩・物語りの思想・文化史
広く詩や詩的物語を対象として、その思想的・文化史的な意味を考察する。古い宗教詩から近現代の叙事的物語に至るまで、すなわち、聖書の詩や、民衆詩としての賛美歌、口承文芸としての詩的物語(譚詩・メルヘン・伝説等)などを適宜取り上げつつ、近現代に至るまで、詩歌や物語の意義を考える。ひろく「人間・世界(自然、社会を含む)・神」というテーマとつきあわせて述べていく予定。本年は、「君、あなた、汝」をめぐる言葉の「二人称性」について考えることを、考察の枠組みとする予定。「讃歌(賛美)」「悲歌」などの形式が成立し展開する経過、また「信仰詩の(不)可能性」と題して、そうした形式が現代において困難になっていく、その過程をたどる。

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岩本通弥  [研究内容はこちら]

現代民俗学入門
説明は日本および東アジアの事例を主として用いながらも、日本のみならず、ドイツやアメリカの民俗学の翻訳論文も使って、現代民俗学の全体像を概観する。

現代民俗学の課題と展望
前学期の現代民俗学入門を基礎に、ドイツ、アメリカ、日本、中国の民俗学の展開的な諸論考をレビューしつつ、各自がそれぞれの展望を切り拓くことを目標とする。2015年秋の日本民俗学会年会で、招聘講演されるドイツ・ゲッチンゲン大学のレギーナ・ベンディクス教授の編纂した‘A Companion to Folklore’を輪読する。

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福島真人  [研究内容はこちら]

文化としてのインフラー社会を支える基盤についての科学技術人類学
現在の科学技術人類学(科学社会学、STS(科学技術社会論))の特徴は、人間社会とその物質的要素(human/non-human factors)を平等のスタンスで考察するという点である。いいかえれば、社会・文化的要因と物質・自然的要因を同じ枠組みで捉える、という点である。こうした姿勢を対称主義的(symmetrical)アプローチというが、近年こうしたアプローチにおいて、従来の科学論、物質文化研究、技術史、象徴人類学といった諸分野が、新たな融合の兆しを見せている。
 こうした動向の中で、特に近年関心が高まっているのは、一般にわれわれがインフラ(infrastructure)とよぶ、いわゆる技術的な社会基盤についての、文化・社会的研究である。インフラという言葉で連想される、道路や水、電力といったものをこえて、たとえば情報網、データベース等々といったものも最近は情報インフラ、さらには知識インフラといった言い方もなされる。さらにその範囲をアーカイブのようなものにまで広げれば、従来の人類学的な議論もかなりインフラ論に足を突っ込んできたといえる。
 本演習では、このインフラ概念の歴史的発展と、それに対するさまざまな理論的、経験的動向を追いつつ、このインフラという現象を通じて社会・文化を見ることの意味を問う。それは単にいわゆる一般的な社会基盤について工学的に論じるというよりも、文化社会人類学の伝統で、背後に追いやられてきたこうしたテーマを舞台上に載せることで、従来の文化社会論が見逃していた、その物質的基盤の意味について再検討することを目標とする。

モノのデザイン、社会のデザインーデザイン、設計、政策についての科学技術人類学
 現在の科学技術人類学(科学社会学、STS(科学技術社会論))の特徴は、人間社会とその物質的要素(human/non-human factors)を平等のスタンスで考察するという点である。いいかえれば、社会・文化的要因と物質・自然的要因を同じ枠組みで捉える、という点である。こうした姿勢を対称主義的(symmetrical)アプローチというが、近年こうしたアプローチにおいて、従来の科学論、物質文化研究、技術史、象徴人類学といった諸分野が、新たな融合の兆しを見せている。
 こうした動向の中で、特に近年デザインについての関心が高まっている。ここでいうデザインは、日本語でのデザインという言葉がもつ、美的な側面と、より広い設計という概念の両方を含んでいる。実際、われわれの社会を形作る多くのモノや技術は、こうしたデザイン(設計)の賜物であるし、その文化・社会的側面を詳しく分析するのは、科学技術人類学の重要な役割のひとつである。だがこのデザイン(設計)は、こうしたモノ、テクノロジの分野にとどまらない。制度、コミュニティ、市場、さらには社会一般も、デザイン(設計)される、という言葉が、われわれの周辺にはあふれている。だがこうしたモノと人(社会)にまたがるデザイン(設計)概念は正当なものなのだろうか?そもそもコミュニティや市場、さらに社会全体を設計することなど可能なのであろうか。社会科学においては、そうしたデザイン(設計)思想に対する長い批判の歴史がある。とすれば、同じ批判をモノのデザイン(設計)に還元してみると、いったい何が起こりうるか? 
 この授業では、デザイン(設計)という文化・社会的な実践を通じて、それがモノと社会の両面にどのような影響をあたえるか、またその二つの領域の間にどういう相互関係があるかを、領域横断的、対称主義的に観察、分析することである。この過程を通じて、従来余り交わることのなかった諸領域、たとえばデザイン学、建築学、政策学、開発理論、市場社会論、といった領域がお互いどういう関係にあり、そこに存在する、隠れた交流を議論することで、デザイン(設計)という行為がもつ、深い文化社会的な意義を再検討する。

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箭内匡 [研究内容はこちら]

博士論文ライティングアップ・セミナー(Sセメスター)
文化人類学コースにおいて博士論文を書き上げるためのセミナー。フィールドワークを終え、博士論文を準備中、或いは執筆しつつある文化人類学コースの博士課程の大学院生を対象とする。発表者が博士論文のドラフトの一部を発表し、セミナー出席者からのコメントを受けることで、論文完成へとつなげることを目的とする。

イメージの人類学ー原発問題の周辺でー
授業の基本になっている考え方は、文化人類学で文化や社会と呼ばれてきたものを(社会的に共有される)イメージの次元、また人々の中のイメージ化の能力に焦点を当てつつ再考することである。ところで原発や原発被災に関する問題は、そうしたイメージ化の次元よりもはるかに巨大な現象(エネルギー、経済、テクノサイエンス)や微小ないし不可視の現象(放射線)を不可避的に含んでいる。この授業では、人類学周辺の関連文献(映像を含む)を扱いつつ一連の問題を考察するなかで、人類学の今日について考えてみたい

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渡邊日日  [研究内容はこちら]

人類学再入門演習
ディシプリンは常に変化のさなかにあって、動きを止めたときはすでに終わっているものである。本演習では、Jack David Eller, Cultural Anthropology: 101, Abingdon: Routledge, 2015(予定)をメインにして英文の文献をもとに、人類学的思考の所在とその変容をおさえることを目的とする。同時に、academic readingの基礎的訓練を行う。修士課程一年生には履修を奨める。 

人類学と倫理学のインターフェース
「相対主義」(相対化の営為)と完全に離婚できない人類学は、いかにして「価値判断」と向き合わなければならないのか。この答えのない問いをめぐり、James D. Faubion, An Anthropology of Ethics (Cambridge University Press, 2011)をメインにして(他に、Carolyn Fluehr-LobbanやJames Laidlawらの論考を加える可能性あり)、検討を展開したい。

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津田浩司 [研究内容はこちら]

民族論の展開 
「民族」を「民族」として論じることが自己撞着的で本質主義的であることは、すでに多くの論者によって指摘されている。このゼミでは、「民族」を所与の説明原理としてブラックボックス化することなく、いかにして「民族」にまつわる(とされる)現象を論じることができるかを、文献を読みながら討議する。なお主要な検討対象としては、いわゆる「華僑・華人」に関する諸研究を想定しているが、それ以外の領域に関心がある学生の参加ももちろん歓迎する。

フィールドワーク論(2) 

「ライティング・カルチャー」ショック以降、人類学においては民族誌を書くこと、およびその前提としての(かつそれと不可分な営みとしての)フィールドワークをすることに、より反省的であることが求められるようになった。とはいえ、民族誌を書くこともフィールドワークをすることも、人類学の主要な方法論であることには変わらない。本授業では昨夏に引き続き、上記ショック以降の実験的民族誌を紹介するというよりも、フィールドワークについて論じたいくつかの文献を読むことを通して、改めて人類学的フィールドワークとは何かを考えたい。なお、フィールドワークの実践的なテクニックを教授する授業ではないので、注意されたい。

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名和克郎  [研究内容はこちら]

文化人類学者のための言語人類学入門
社会・文化人類学者が行うフィールドワークにおいて通例大きな比重を占めるのが、言語を用いた情報の収集である。その過程で得られる「現地語」による資料は、言語学者の抽出する文法にも、翻訳された意味にも解消されない様々な情報を含み、多様な分析に対して開かれている。ここでは、北米言語人類学の成果を中心としつつ、かならずしもそれに限定されない形で、言語の諸側面に焦点を当てることにより社会的・文化的問題を新たな形で論じた民族誌的研究を検討する。どのような調査を基にどのような分析を行えば何が見えてくるのかを具体的に見ていくことで、来たるべきフィールドワークの可能性を広げるような授業としたい。

比較民族誌演習II
人類学における「現代の古典」と言い得る作品を現在第一線で活躍中の人類学者のコメントと共に読むことで、人類学が現在持ちうる可能性について考える。

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関谷雄一    [研究内容はこちら]

開発と文化人類学(演習) 
文化人類学は植民地主義と伝統文化の消失を導きかねない社会開発の現象に対し早くから警告を発し、批判をしてきた。一方、20世紀の中盤を超えたあたりで、徐々により良い社会開発の在り方を探るためにこの学問の知見が応用・活用されるようにもなった。その取り組みは開発実践に相対的なものの見方と、住民参加型の姿勢とノウハウをもたらした。20世紀終盤には、開発を脱構築して現象そのものを批判的に見つめる視点が登場する。今世紀初めには、開発現象を、より現場目線から見つめ直して取り組むための考察と実践を導く。本授業では主として社会開発と文化人類学とのこれまでの関わり合いを踏まえつつ、開発現象に対してこの学問がどのように取り組んできたかを考察し、この知的潮流の今後の可能性について吟味する。

文化人類学と現代アフリカ農村開発(演習)

本授業ではアフリカの農村開発について、文化人類学の理論・概念を使いながら分析を行う。文化人類学の文献を読みつつ、グローバル化時代にあって懸命に適応しようとしているアフリカ農民の姿を追いながら、一方でそうした農民の経済状況や生活事情を少しでも良くしようとする開発実践の現状についてもその功罪を含めて検証してゆく。

キーワード:文化人類学、マンチェスター学派、アフリカ農村、内発的発展、出稼ぎ、プランテーション、BOPビジネス、政府開発援助(ODA)、適正技術移転等

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森山工     [研究内容はこちら]

・学内重要職務のため授業なし

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Geoffrey C. Bowker ジェフリー・バウカー(2015年度客員教授)

Towards a new ecology of information: reflection on the social life of information in the context of science, culture and design (情報の生態学:科学、文化、デザインと情報のかかわり) 

この授業は、カリフォルニア(アーバイン校)の情報学および文化人類学コース教授である、ジェフリー・バウカー教授(科学史、科学技術社会論、文化理論)による、集中講義である。この授業では、現代の科学技術社会論、および情報研究の先端的な成果の紹介を中心に、バウカー教授のこれまで研究してきた一連のテーマからいくつか主要なものをピックアップし、連続講義とする。その主要なトピックとして、現在科学論でホットな関心を集めている、インフラストラクチャ(物質的、および情報)の文化的、社会的な意味の研究、それらにかかわるデザインと、その価値、新たな時代における知識表現のあり方等を中心に授業を行う。

The lectures of this course is to be conducted Prof Geoffrey Bowker, professor of informatics and anthropology in the University of Calfornia, Irvine. Professor Bowker is well-known for his study of the development of infrastructure and the values in designing for the new forms of knowledge expression. This course is the general introduction of his past works in the forms of intensive lectures.

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